私には、喫茶店でコーヒーを飲む仲間がたくさんいます。毎月、10人程度で一同に集まって、世間話をするグループ。毎週一回、4人で集まるグループ。50年以上前からの友人。仕事で知り合って、退職後10年以上の友人。母親の兄貴の子(従兄)等たくさんのコーヒーを友にしてくれる友人がいます。その他に妻と一緒に、昼食を兼ねたモーニングサービスの店に行きます。そのためコーヒーチケットを5種類以上持っています。年間の喫茶店の出入りは300回以上です。現在年齢は73歳ですが、地方公務員を退職した後、68歳で終活の不動産屋を開業しました。終活とは何ごとかと思いますが、今から一部内容を記述します。
それは突然やってきました。毎週4人でコーヒーを飲む場所にOさんが来ませんでした。携帯電話で連絡しても連絡が取れませんでした。Oさんは、2年ほど前までは母親と二人で暮らしていましたが、Oさんが独身で母親も高齢となり、老人介護施設に入所しました。現在は一人暮らしをしています。
その日は、3人でコーヒーを飲みながら、Tさんが、Oさんのお母さんが亡くなったと言ったので、それで連絡が取れないのかなと思いました。ただ不思議なことに、母親の葬儀の喪主がOさんではないような話がありましたが、気にはしていませんでした。
それから、3日したらOさんの妹Iさんから電話がありました。Oさんは、脳梗塞で、意識不明の状態で病院に入院しているとのことでした。Oさんは、長男で妹が三人います。三人とも結婚しています。Iさんは次女です。嫁ぎ先が西尾市内で、Oさんと母親の面倒を見ていました。母親が入所した施設はIさんの自宅の隣にある老人介護施設でした。
その日は、母親の体調が悪いとのことで、Oさん・Iさんと旦那さんで見舞いに行ったそうです。Oさんも体調がすぐれなかったが、見舞いに行きました。見舞いが終わって、Iさんの旦那さんと、医者に行ったが、たいしたことはないとのことで自宅に帰ってきましたが、車から降りられない状態だったので、救急車で病院に行きました。その時には、すでに意識不明の状態だったそうです。その日の夜には母親は亡くなったそうです。
Iさんからの私への電話の内容は、Oさんにもしものことがあったら、私に頼んであるからと、聞いているとのことでした。私はコーヒーを飲みながら、仕事として実家じまいとか相続の話、墓じまいの話をしていました。Oさんはこの話を聞いて、Iさんに自分にもしものことがあった場合、私に頼んであると言っていたそうです。私はOさんが、元気でしたのでそのようなことは考えてもいないし話も聞いていませんでした。
連絡を受けて三日後にはOさんは亡くなりました。連絡が遅くなったのはOさんがスマートフォンを持っていたためです。スマートフォンによる電子決済が使われていたので、暗証番号が必要でしたが、一人暮らしですので、誰にも伝えていなかったからです。関連して知り合いの電話番号も解りませんでした。暗証番号は、スマートフォンを買うときにOさんの甥っ子が一緒に行ったのが解り、暗証番号を知ることができたそうです。その他に銀行のキャッシュカードも解りませんでした。銀行については本人が亡くなったとの連絡がない限り、入出金を止めることはしないと聞いていたので、そのままにしておくように話をしました。
葬儀が終わって、終活の不動産屋としてアドバイスと今後のOさんの財産の扱いについてお話をさせていただきました。
Oさんは、お父さんを55年前に亡くし、独身のまま亡くなりました。お父さんの財産である自宅、田、畑はすべて相続されていました。市役所の名寄帳で確認をしていただきました。相続人は戸籍謄本を確認したところ、三人の妹さんでした。葬儀後に三人の妹さんに集まってもらい財産処分について話をさせていただきました。相続税ですが、名寄帳の土地の評価と、預貯金からして相続税は対象外となる可能性が大きいと伝えました。ただし、6か月後に税務署からお尋ねが来たら、相続税の出る可能性があります。預貯金についてはキャッシュカードなら下せる可能性がありますが、亡くなってから3ヶ月以内に裁判所に提出することができる、相続放棄はできなくなることを伝えました。亡くなってから4か月以内に準確定申告を行うんですが、Oさんの収入は年金のみで確定申告を行っていないので、準確定申告は必要なしでした。
財産の相続権は、法定相続分ですと三人が三分の一ずつとなるけど、どのように配分したらよいかと話をしたところ、Iさんがすべて相続し、実家と農地は引き継ぐ人がいないとのことで、不動産はすべて私が処分することで決定しました、実家は壊して更地として処分することとなりました。自宅建物が建っているところは市街化調整区域で昭和45年以前からの宅地でしたが、車庫兼倉庫が建っているところは、地目が畑で課税が宅地でした。地目は農業委員会の現況証明で宅地にしましたが、住宅の建設ができない宅地で処理方法を考え中です。昭和45年以前の宅地の上にある建物が、昭和56年以前の宅地の相続で3,000万円までは譲渡税が非課税になります。農地が四反ほどありましたが、農事オペレーターが買ってくれました。預貯金は自動引き落としがたくさんあるので、一年ぐらいしたら死亡の手続をしたらと話していたら、Iさんがキャッシュカードの暗証番号が解らなかったが、3回までは間違えても良いと聞いていたのを一日三回と思って三回目を間違えたら、キャッシュカードが無効となってしまいました。この時点でOさんが亡くなって、三か月ほど経過していました。入院保険等の契約がされていて、自動引き落としが近づいていたので、農協の支店長に連絡したところ、亡くなったと聞いているが親族からの連絡がなかったので、通帳の停止はしなかったとのことで、農協で亡くなった話をしたらすぐに通帳を停止されました。
農協に連絡したのは、入院保険が農協で契約されて、引き落としが近づいてきたのと亡くなる前に一週間ほど入院したので、保険金の申請をする必要があったからです。
すべての財産をIさんが相続すると決定したので、司法書士にお願いして相続登記を行いました。相続登記が終わって遺産分割協議書と戸籍謄本が返却されたので、その書類も持って農協、郵便局へ行ってOさんの預金を解約しました。遺産分割協議書と戸籍謄本は金融機関でコピーするので、相続登記を終えた後で行うのが良いです。郵便局は手続が複雑で時間がかかります。最近は株式等を持っている方が多く見えます。これは証券会社に尋ねると教えてくれます。以上で、Oさんの相続関係は完了しました。
お墓、仏壇、納骨等の祭祀財産関係は、直接お寺に問い合わせるとよいです。
相続手続きは、相続に強い税理士に依頼すると司法書士と連携していますので、知り合い等に聞いて手続きを進めてください。
終活とは、人生の終わりに対して生きている間に行うものですが、本人が亡くなった後での作業はたくさんあります。子供、孫がいる方は相続手続きができますが、一人っ子で兄弟もいない結婚もしていない人は、本人が生きているときに財産処分をしない限りそのまま残ってしまいます。こうした物件の対応をしているのが、終活の不動産屋『オフィス結愛』です。